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厳冬の八ヶ岳

ファイル 84-1.jpg 年末年始を山で過ごすようになったてからどれくらいたっただろう。毎年出かけるメンバーは固定化してはいるが、今年は一昨年同行したカナダ人Maruとその妹Jenny(現オーストラリア在住)を連れてのツアーとなった。正直当日まで面識の無かったJennyがどれだけの人物かを知らされないままであったが、雰囲気に流され決行することになった。案ずるより産むが易し、何のことはない彼女は本国でロッククライミングのライセンスを持ち、ボランティアで山岳スタッフとして働いた経験のある超エキスパートであった。老体にムチ打つ我々とは大違いであった。
 プロローグの北沢では、遅れる私たちを尻目に、目に付く壁に飛びついたり、岩の隙間をくぐり抜けたり、ダイナミックなボディーとは裏腹に行動は幼い。持ち物もカップやお椀は和が好きといい続き漆器風のアイテムを用意してきた。
 今回も、いつしか恒例となった年越しは、赤岳鉱泉小屋で過ごした。さすがに10年近くも訪れているので、スタッフにその風貌と行動スタイルは知られているところとなっていた。250人を超えるであろう大人数でありながら、特設の個室を用意して頂いたり、他の客を排除しての図書室での自炊を許して頂いたり、ウェルカムドリンクのサービスなど感謝の念でいっぱいだ。
 宴もたけなわとなる頃、やはり類は友を呼ぶのことわざどおり何人かが同席を求めてきた。それ程社交的ではない私もこういう場所では躊躇しない。こういう部分はSLがひととおり仕切ってくれるのも安心できるところである。飲み物と共に持参した珍味を振る舞ったり、過去のエピソードを語ったりと、おおよそここが厳冬の山小屋であることを忘れていまいそうである。ファイル 84-2.jpg
 明けて新年は赤岳への登頂だ。いろいろあったが、予定時刻どおり天望荘に着き快適な時間を過ごした。ここは前述の赤岳鉱泉小屋とは立地する場所柄、営業スタイルが幾分違う。客層も写真を趣味とし、機材自慢や撮影ポイントやはたまた技術指導する者まで、ブームに乗った山ガールなどは見あたらない。自他共に認める山岳写真家の私はというとこういう場所では知識をひけらかさない。じっと聞き入り自分に必要な情報だけを手に入れるといった少々ずるい質だからである。そんな小屋を後にし下山しようとしたときメンバーの1人のアイゼンにトラブルが生じた。簡単に修理できると判断したが、状況は少し深刻だった。とりあえず小屋スタッフに相談すると、とても親切な対応をして戴き、肝心なパーツが欠落し修理不能と判断するやいなや代替のアイゼンを無償で貸与してくれた。アイゼン無しでは、命がいくつあっても足りない。感謝の念でいっぱいだ。
(後略、後日追記)